裂けて海峡

志水辰夫

弟に船長を任せた船が海峡で遭難し、乗組員全員が死ぬところから始まる長編。責任を負った男が遺族を一人ずつ訪ね歩くうちに、事故の裏にあった事情が少しずつ姿を現していく。私的な悔恨から始まった旅が、やがて国際的な陰謀と重なっていく展開が読みどころになる。喪失を抱えた男を抒情的な文体で描く志水辰夫の持ち味がよく出た冒険小説。

ジャンル: 小説・文学